ドライアイ(乾き目)
ドライアイとは
ドライアイは「目が乾きやすい」、「涙が少ない」といった涙のトラブルのことをいいます。
もう少し詳しくいうと、ドライアイは目の表面を構成する細胞と涙の層に悪循環が生じることで、目の潤いを持続できなくなった状態をいいます。
日本の高齢化がすすんだことや、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスを使用する機会が増えたことでドライアイに悩む人は増え続けており、現在ではドライアイ患者は2000万人以上いると推計されています。
涙液の分泌はホルモンバランスの影響を受けるため、特に女性に多いと言われています。
ドライアイの症状
目が乾く
「ショボショボする」「カサカサする」「砂が入ったみたい」など表現は様々です。
異物感、コロコロする
涙が減少すると目の表面の摩擦が強くなりコロコロした感じや異物感を生じます。
涙っぽい、涙がこぼれやすい
ドライアイが目の刺激になり、逆に涙が異常に分泌されることがあります。
ぼやける
目が乾いてくると眼球表面が不規則となり、ぼやけて見えます。
まばたきをすると一時的に治ることが多いです。
目が開けてられない
まばたきが多くなるという表現をされる方もいます。
朝に目が開けにくい
就寝中は涙の循環が更に悪くなり、起床時に症状が酷くなる方もいます。
ドライアイの原因
生活環境
目の表面は空気にさらされているため、湿度や空調の影響を強く受けます。
特に湿度が低く空調の利用が多くなる冬になると、涙の蒸発が増加しドライアイが悪化します。
年齢
年齢とともに涙腺(涙を分泌する分泌腺)の機能が低下します。
特に40歳以上の方において、ドライアイの発症リスクが増加します。
デジタル機器の使用
スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を長時間使用することで、まばたきの回数が減少し、涙の正常な分泌が阻害されることがあります。
これにより、眼球表面が乾燥しやすくなります。
ホルモンバランスの不調
エストロゲンの上昇がドライアイのリスクを高めると言われており、月経中の方や閉経後のホルモン補充療法中の方、経口避妊薬を服用中の方がドライアイになりやすいと言われています。
コンタクトレンズの使用
涙液の上にコンタクトレンズを乗せるので、目の表面に炎症を引き起こすことがあります。
この炎症がドライアイの原因となります。
お薬による影響
抗ヒスタミン薬や抗うつ薬を服用することが原因となります。
身体の病気
糖尿病、甲状腺疾患、自己免疫疾患(リウマチ、シェーグレン症候群など)がドライアイを合併しやすい疾患です。
ドライアイの治療
目薬による治療
ドライアイに対する目薬は①涙の分泌を増やす、②涙の安定性を高める、③目の表面の炎症を抑えるなどの効果があります。
1種類では効果がない場合、数種類の目薬を併用いただく場合があります。
まぶたの洗浄、まぶたを温める治療
涙の構成成分である油の分泌が悪い方には、温罨法といって目をホットアイマスクなどで温めていただく場合や、リッドハイジーンという、まぶたの洗浄方法を指導させていただく場合があります。
涙点を塞ぐ治療
上記の治療を行ってもドライアイが持続するような重症ドライアイ患者には涙点プラグという涙の排出口を塞ぐ処置を行うことがあります。
排出口を塞ぐことで、涙が目に貯留するようになりドライアイの治療につながります。
この治療は外来の診察室で処置を行い、5分程度で終了します。
院長コメント
ドライアイの治療は層別治療(TFOT)という新しい概念に基づいて治療をすることが大切です。
層別治療というのは、涙のどの成分(例えば油分や水分)が異常をきたしているかを見極め、目薬やその他の治療を選択していくこといいます。
完治が難しい場合も多く、患者様に寄り添ってより良い状態へ導きたいものです。
当院でのドライアイの治療
ドライアイ特有の症状を訴えておられる患者様には、診察室で涙の乾きやすさをチェックします。
ドライアイが見つかった場合、まずは目薬で治療します。
ドライアイの目薬はいくつか種類がありますので、それぞれの患者様に合った目薬を提供させていただきます。
目薬の治療と並行して、改善すべき生活習慣があるようでしたら適切なアドバイスもさせていただきます。
目薬だけでは改善しない場合、涙点を塞いで涙をためる処置も当院で採用しております。
ドライアイに関するよくある質問
Q:ドライアイを予防する方法はありますか?
A:スマートフォンやテレビ、パソコンなどを使用する場合は、こまめに休憩をとりましょう。
日本の冬は乾燥しますので、どうしてもドライアイを防ぐことができない場合があります。
乾燥することが分かっている場合は、市販のものでも構いませんのでドライアイの目薬を予防的に使用するとよいでしょう。
Q:ドライアイに効果があるサプリメントや食べ物はありますか?
A:オメガ-3脂肪酸を多く含む食品(魚、ナッツなど)やサプリメントの摂取が涙の質を向上させ、ドライアイに効果的と言われています。
Q:コンタクトレンズはドライアイがあっても装用できますか?
A:基本的にはドライアイがある状態でのコンタクトレンズ使用はオススメできません。
ドライアイを悪化させるので、症状があるうちは眼鏡に切り替えたほうが良いでしょう。
ただ多くの目薬がコンタクトレンズ上から点眼可能なので、どうしてもという場合は目薬を使用しましょう。
Q:ドライアイは完治しますか?
A:乾燥などの環境を変えることが難しい場合が多いこと、老化現象の一つであることなどから完治が難しい場合があります。
ただ、目薬や予防策によって快適な状態を維持することは可能です。
ドライアイ治療は根気のいる治療ですが、一緒に頑張っていきましょう!