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加齢黄斑変性

加齢黄斑変性とは

日本人の高齢化問題や食生活の変化により加齢黄斑変性の患者は増加してきており、メディアでも取り上げられるようになったため名前をご存知な方もいらっしゃるかと思います。
簡単にご説明しますと「加齢」「黄斑」「変性」という名前の通り、「加齢:年齢が上昇することで」「黄斑:目の大事なところの」「変性:異常が生じる」病気となります。
初期段階では、症状がほとんどなく、進行が進むとぼやける、視界が歪む、視力が失われたりすることがあります。
この病気は早期の診断と治療が重要で、治療が遅れると後遺症を残し視力が回復しない場合があります。

加齢黄斑変性の種類

大きく分けて①滲出型加齢黄斑変性、②萎縮型加齢黄斑変性に分類されます。

滲出型加齢黄斑変性

日本ではこちらの種類の加齢黄斑変性が多いです。
滲出型加齢黄斑変性は進行が早いものが多く、治療を躊躇していると網膜に深刻なダメージを残してしまいます。

萎縮型加齢黄斑変性

こちらの病型は黄斑部の視細胞がゆっくりやられてゆく病気で、有効な治療法はありません。

加齢黄斑変性の症状

この疾患は片目ずつ生じることが多く、良い方の目で補ってしまうため病気の前段階や初期では症状に気が付かない場合が多いです。
しかし、進行に伴って次第に視力や視界に影響を及ぼすようになります。

視力が下がった・ぼやけて見える

加齢黄斑変性は目の中心部にある「黄斑」という視力に最も影響する場所の病気です。
病気が悪化すると視力が低下したり、ぼやけたように見えたりします。

視界がゆがんで見える

病気があると外の景色がうつる網膜が、「ぐにゃっ」と歪んだようになるため、ものが歪んで見えることがあります。
特にカレンダーにあるようなマス目を見た時に自覚しやすいです。
下にセルフチェックのためのマス目があるので自分で確かめてみましょう。
①30cm程度画面から離れましょう。
②片目を手で隠して、真ん中の黒い点を見つめましょう。
③反対の目でもチェックしましょう。
線が膨らんで見えたり、曲がって見えたりした場合は早めに眼科受診をしましょう。

視野がかけた感じがする

加齢黄斑変性により網膜がダメージを受けると、その部分の機能が落ちてしまいます。
視界の一部が見えにくいなどの症状が現れます。

加齢黄斑変性の原因

年齢によるもの

加齢黄斑変性の主な原因は、名前の通り「加齢」です。
年齢とともに眼球内の老廃物を排出する機能が落ちて、網膜のところに蓄積してきます。
この老廃物が酸化ストレスなど引き起こすことで、様々な異常を引き起こします。

喫煙などの生活環境

喫煙は加齢黄斑変性の進行を促進する危険因子として注目されています。
喫煙により、血管の損傷や酸化ストレスが引き起こされ、これが病気を悪化させる可能性があります。
また、不健康な食生活や運動不足も、加齢黄斑変性のリスクを増加させる因子となり得ます。

その他

明らかな因果関係が証明されているわけではありませんが、遺伝によるもの、紫外線による影響なども加齢黄斑変性の原因と考えられています。

加齢黄斑変性の治療

滲出型加齢黄斑変性の治療は以下の3つの治療法が考えられます。

抗血管新生薬療法(硝子体注射)

加齢黄斑変性を進行させる要因の一つにVEGF(血管内皮増殖因子)があります。
この物質は目の中の悪い血管を増殖させる働きを持つため、このVEGFを抑えることが加齢黄斑変性の治療に繋がります。
VEGFを抑えるお薬を目の中へ投与することで、眼内にダイレクトに薬剤を浸透させることができます。
目の中へ注射 することを「硝子体注射」といいます。

光線力学的療法

前述の硝子体注射が普及する以前に、一般的に行われていた治療です。
こちらの治療のみを行う頻度は少なく、前述の抗血管新生薬療法と併用される場合がほとんどです。
血管内に光感受性物質であるベルテポルフィンという物質を投与した後に、弱いレーザーを病変部に照射します。
ただしこの治療の後は、身体が光に対し過敏に反応するため、5日間程度は直射日光を避ける必要があります。

レーザー光凝固術

病気が目の中心部分から離れたところにある場合は、レーザーによって病変を焼切ることができます。
レーザーを照射した部分は視細胞がやられてしまうため、その部分は見えなくなりますが、中心部まで病気が及ぶことを防ぐことができるため、視力低下を予防できます。

院長コメント

年齢が50歳を超えると誰もが発症する可能性があります。
普段から規則正しい生活や、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
ルテインやビタミンのサプリメントも有用です。
どのサプリメントが良いかなどもアドバイスできますので気軽にご相談ください。
また治療費が高額になった場合の対応についてもご説明させていただきます。

当院での加齢黄斑変性の治療

まず喫煙されている場合は禁煙いただきます。
当院では最も効果が期待できる、「抗VEGF薬 硝子体内注射」を採用しております。
加齢黄斑変性は治療が長期に渡る場合が多く、硝子体内注射を何度も繰り返す必要がある人もいます。
また一回の治療費が非常に高額になります。
高額医療費制度の適応となる場合もあるため、必要な方はご相談ください。
下の表は片眼に硝子体注射を受けた場合の費用概算です。

負担割合 3割 2割 1割
片眼 約55,000円 約18,000円(上限) 約18,000円(上限)

加齢黄斑変性に関するよくある質問

Q:加齢黄斑変性を予防する方法はありますか?

A:まず喫煙されている方は禁煙をしましょう。
喫煙は加齢黄斑変性の最大の危険因子です。
太陽光などの紫外線も網膜にダメージを与えますので、サングラスなどで紫外線対策をすることも有効でしょう。

Q:加齢黄斑変性に効果がある食べ物やサプリメントはありますか?

A:目にとって良い効果をもたらす食事成分として、抗酸化ビタミン(ビタミンE、ビタミンC、ベータカロチンなど)、ミネラル(亜鉛)、ルテイン、オメガ3脂肪酸などがあります。
とくに黄斑を保護する作用のあるルテインを含んだ緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)が加齢黄斑変性に対して有効でしょう。
サプリメントは上記の成分を含んだものを選択すると良いでしょう。
詳しいことは外来で私に聞いていただければと思います。

Q:加齢黄斑変性は完治しますか?

A:完全治癒して、心配がいらなくなることはないです。
当院で実施している抗VEGF療法も、有効ではありますが病気を抑えて沈静化させているだけで再発する可能性は十分あります。
例えるなら「富士山のように今は静かであるが、いつ噴火するかは誰にもわからない」といった感じです。
治療がうまくいったとしても油断せずに定期検診を受けましょう。

文責

日本専門医機構認定 眼科専門医 
竹本俊旭

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