バセドウ病眼症
バセドウ病眼症とは
バセドウ病眼症とは、バセドウ病に伴う眼の病気です。
バセドウ病患者様の30%くらいになると言われています。
眼球の周りにある脂肪組織や目を動かす筋肉の中に存在する甲状腺に関係した抗体が標的となって「炎症」が起きる疾患です。
よく知られた症状は眼球突出です。眼球突出は眼球の後ろの組織が腫れることで眼球が前に押しやられることで生じます。
バセドウ病患者様の約10%程度の方で生じます。
甲状腺機能が正常であっても、バセドウ病眼症が発症することもあります。
(日本眼科学会HPより引用)
バセドウ病眼症の症状
- 眼が飛び出す(眼球突出)
- 物が二重にみえる(複視)
- 両眼が同じ方向に向かない(斜視)
- 眼が閉じられない
- まぶたが腫れる
- 眼が大きくなる(眼瞼後退)
- 眼の奥が痛む
- まぶたや白目が赤くなる
バセドウ病眼症の原因
バセドウ病と同じメカニズムで、甲状腺で作られた抗体が目の周りの脂肪組織や筋肉を攻撃します。
それにより、バセドウ病眼症が発症するといわれています。脂肪組織が攻撃を受けて腫れると、眼球が突出したり、視神経を圧迫して視力が低下したりします。
筋肉が攻撃を受けると、筋肉の柔軟性が失われ目の動きが障害されます。
そのため斜視や複視といった症状が現れます。
バセドウ病眼症の治療
バセドウ病眼症を悪化させる主な要因は、①睡眠不足②ストレス③喫煙といわれています。
生活をしていく中でストレスをなくすことは難しいと思いますが、睡眠時間の確保や禁煙することで、瞼の腫れや目の奥の痛みを軽減できます。
主な治療として①薬物療法、②放射線治療、③手術療法があります。
①薬物治療
甲状腺眼症には、炎症活動期(発症後1~3か月)があり、その後線維化する非活動期に移行します。
炎症の強い時期にステロイドという薬剤を点滴や局所注射で行います。
ステロイド治療では、目の周の筋肉に生じている炎症を鎮めることが目的です。
副作用には、消化器症状(胃潰瘍など)、感染症、精神症状、骨粗鬆症、体重増加、糖尿病、満月様顔貌(ムーンフェイス)、肝障害などが挙げられます。
これらに注意しながら治療を進めます。炎症が落ち着いたら、手術などの治療になります。
②放射線治療
目を動かす筋肉や目の周りの脂肪組織に放射線を当てることで、リンパ球を破壊し、治療を行う方法です。
ステロイド療法と比べると、治療効果の発現には時間がかかるといわれています。
顔面に放射線をあてるため水晶体混濁、放射線網膜症(眼底出血など)、眼球乾燥などの合併症が生じる可能性があります。
③手術療法
炎症が落ち着いた後も目の動きが障害されている場合は、複視を取り除くため斜視手術を行います。
目の奥の組織が腫れて視神経が圧迫されている場合は、できるだけ早期に圧迫を解除するための減圧術を行います。
院長コメント
当院では眼球突出による兎眼(目が閉じられなくて乾くこと)に対してのドライアイ治療を行っております。
重症なドライアイがある場合は、涙点プラグの挿入も行えます。
バセドウ病眼症に対するステロイド点滴治療、放射線治療、斜視手術などは対応可能な連携施設に紹介させていただきます。