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斜視

斜視とは

斜視とは目の向いている方向が両目で一致しない状態をいいます。
目の位置がずれることで、左右で見えている景色にずれが生じます。
急な発症の場合は物が二重に見えるなどの症状(複視といいます)が出ます。
この二重に見える症状は、片目を隠すと一つに見えるようになることが特徴です。

子供の場合は、二重に見えるなどの症状を言わないことが多く、写真や周りからの指摘で発見される場合が多いです。
子供の斜視は立体的にものを見る力が低下したり、視力が発達せずに弱視(視力が出ない目になること)を発症したりする場合があるため適切な治療が必要です。
片目が内側に向いてしまっている状態を内斜視、外側に向いてしまっている状態を外斜視、上側に向いてしまっている状態を上斜視、下側に向いてしまっている状態を下斜視といいます。

なお赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いために、あたかも内斜視のようにみえることがあります。
見かけ上のものであり、本当に斜視があるわけではないのでこれを偽斜視といいます。
成長に伴い顔立ちがはっきりしてくると目立たなくなります。

(日本眼科学会ホームページより引用)

斜視の症状

ものが二重に見える(複視)

右目と左目で見ている景色にズレが生じるため、ものがダブって見えます。

片眼をつむってものを見ている

前述の通り、複視の症状は片目であると消失します。
そのため像が二重に見えないように片眼をつむって対応している患者様もいらっしゃいます。
子供の場合、その仕草が眩しそうにしているように見え、不思議に思って受診されることがあります。

首を傾けたり・回したりしてものを見ている

向いている方向によっては像が一つに見える場合があります。
モノを見るときに、像が二重に見えない位置を探して首を回したり、傾けたりする場合があります。

目が疲れる

ズレている目の位置を戻そうと、目の周りの筋肉が自然と努力をしてしまうため目の疲れを感じることがあります。

視線が合わない

目の位置がズレているため、本人は真っ直ぐ見ているつもりでも相手からは視線が合っていない様に見えます。

斜視の原因

斜視の主な原因は以下の5つです。子供の場合は遠視によるものが多いです。
大人の場合、ほとんどは目を動かす筋肉や神経の異常によるものです。

①目を動かす筋肉や神経の異常によるもの

筋肉や神経が正常に働かなくなると、左右の眼球の動きのバランスが乱れ斜視となります。

②遠視によるもの

強い遠視があるとピント修正の力が過剰にかかってしまい、目が内側によってしまいます。

③目の病気によるもの

片方の目の機能が著しく低下している場合、機能の落ちている目で「真っ直ぐ」が分からなくなり正常な目の位置を保てなくなります。

④脳の病気によるもの

脳の病気があると、目を動かす神経に影響を与えることがあり①と同様に眼球を動かす神経に麻痺が生じます。

⑤全身の病気に伴うもの

例えば糖尿病や高血圧がある方は、眼球を動かす神経の血流不足により一時的に外眼筋が麻痺し、斜視が生じます。
多くの場合、半年程度で自然軽快します。

斜視の治療

斜視の種類や発症年齢によって治療法が異なります。
主な治療は4つです。①メガネによる矯正、②プリズムによる補正、③ボツリヌス毒素の注射、④斜視手術などです。

①メガネによる矯正

遠視や強い近視が斜視の原因となっている場合に有効です。
メガネをかけても斜視が残る強い斜視を認める場合は、手術の適応となることがあります。

②プリズムによる補正

プリズムを用いた補正とは、特殊なレンズやフィルムを用いて見えている像のズレを補正することをいいます。
景色のズレを補正して像を1つにします。
斜視による眼精疲労を改善させる効果もあります。

③ボツリヌス毒素を用いた治療

斜視治療の中にはボツリヌス毒素を、目を動かす筋肉(外眼筋といいます)に注射する治療があります。
外眼筋を麻痺させることで位置ズレを治す治療です。
数ヶ月で効果が消失するため、繰り返し治療する必要があります。

④斜視手術

外眼筋の付着部や長さ調整することで、目の位置ズレを直します。

斜視治療の目標

斜視治療の目標は大きく3つです。
①両眼視機能の改善、②複視の改善、③見た目の改善です。
子供の斜視の治療で最も大切になるのは①の両眼視機能の改善です。
両眼視機能は2歳くらいまでに急速に発達するため、早期発見・早期治療が必要です。
大人の斜視は②複視の改善と③見た目の改善が主な目標です。

院長コメント

斜視の原因は多岐にわたり、時には内科や脳神経のご病気が原因であることもあります。
的確な診断のためには、詳細な問診が必要となります。
また斜視の発症時期を確認するにあたって、過去の写真がヒントとなることもありますのでお持ちください。
どんな些細な症状でも構いません。気になる事があれば、お気軽にご相談ください。

斜視に関するよくある質問

Q:斜視を予防する方法はありますか?

A: 斜視には遺伝的な要素もありますので、完全に予防する方法はありません。
スマートフォンなど近くのものを見続けることで生じる急性内斜視は、予防することができます。
近くの作業をするときは30センチ以上離し、スマホを30分間使用したら5分程度は休憩して遠く見て休憩するなどすると良いでしょう。

Q:斜視の手術は幼児でも受けられますか?

A:はい、受けられます。メガネで治療できないタイプの斜視や、ズレの大きな斜視、両眼視機能(ものを立体的にみる力)を獲得させるために斜視手術を行います。
しかし小学生以下のお子様の場合は、手術による負担が大きいため全身麻酔での手術となります。

Q:斜視手術は絶対受けないといけないのですか?

A: 治療の項目である通り、手術のみが治療法ではありません。
また両眼視機能が正常であれば、必ずしも治療が必要というわけではありません。
子供の場合は斜視によって弱視(視力が発達しない状態)や両眼視機能の喪失が起こりやすく、手術が必要である場合が多いです。
大人になってからの斜視手術は①複視改善のため、②整容面の改善という2つの目的があります。
複視だけであればプリズムメガネで改善させることができます。
視線が合わないなど整容面を気にされている場合は、手術でしか治すことはできません。

文責

日本専門医機構認定 眼科専門医 
竹本俊旭

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